タオルを手に取った瞬間に感じるしあわせな手触り。
今治謹製が実現したい「まいにち、もっと、しあわせ」を生み出す工程を紹介します。
アイデアをいくつも出してデザインを決定
生地チップや世界共通のカラーチャート
どのようなサイズのどのような模様、どのような色のタオルをつくるか、デザイナーはアイデアをいくつも出し、デザインを決定、図案化します。図案化した柄に対して、色チップといわれる生地チップや世界共通のカラーチャートを使用し、タオルの色を決めていきます。図案化した柄はコンピュータ処理され、タオル織機のサイズに合わせたタオル用型にデータ化されます。
良質な綿花
糸になる前の輸入した原綿
紡績して糸へ
日本で使用される綿花のほぼ100%が輸入されています。アメリカやインド・中国・パキスタン・エジプトなどあらゆる地域から輸入しています。
それら世界各国からの輸入綿花を紡績会社で紡績して糸にします。タオルに使われる糸は1本に紡績した単糸や、2本の糸を1本に撚った双糸が多く、番手と呼ばれる糸の太さは20番~30番が多いようです。各タオル工場は生産するタオルに最適な糸を選定し仕入れ、加工していきます。
「チーズ巻き」と呼ばれる状態の糸
「ソフト巻き」への巻き返し
穴の開いた支柱へ巻きなおした糸
紡績会社から届いた「チーズ巻き」と呼ばれる状態の糸を、まず「ソフト巻き」に巻き返しを行います。穴の開いた支柱に巻きなおすことで糸を均等に染めることができ、糸の染めむらを防ぎます。このひと手間が繊細な色を出したり、より良い風合いを出すための工程となります。
染色機にセットされた穴の開いた支柱
ソフト巻きのセット工程
タオルを織る前に糸を先に染めることを「先染め」と言い、先にタオルに織ってから生地の色を染めることを「後染め」と言います。染め工程は「先染め」の場合、糊抜きや洗いなどはタオル生地に織り上げた後に行い、「後染め」の場合には糊抜きや精練加工と同時に行います。今治は先染めした糸を使い、多彩な色を使って色鮮やかな柄を出す「ジャガード織り」が主流です。
染色工場ではソフト巻きにされた糸を染色機の穴の開いた支柱にセットし指定した色に染めていきます。
指定した色に染色された糸
精練漂白加工前の原糸
精練漂白加工後の白くなった糸
糊付け
この時に、指定した色に染めるだけでなく、精練漂白加工も同時に行います。精練加工とは、原糸の綿繊維が持っている油脂分・蝋質・ペクチン質などを落とし、綿が本来持っている吸水性を引き出す工程です。同時に糸に付着している不純物や汚れも取り除きます。また、漂白加工とは、原糸に含まれる色素不純物を取り除き、綿本来が持っている天然の白さを引き出す加工です。精練加工だけでは色素不純物は取り除けませんし、両加工がきちんと行われていないときちんとした色に染まらず、色ムラができたりする原因にもなるので、とても重要な工程となります。
クリールに立てられた糸
タイコとよばれる木管
縞立て
ビームへ糸を巻きつけ「伸べ」をつくる工程
染めあげられた糸でデザインに応じタテ糸(パイルになる糸)の準備をします。糸染めが終わった糸は、今度はクリールに立てて、タイコとよばれる木管にタテ糸を巻き取り、そしてビームに巻きつけていきます。先染めの製品はこの段階で柄模様の順に巻いていきます(縞立て)。1本1本設計図に基づいて並べられた糸に、適度なテンションをかけて巻き取ることで、様々な柄のタオルを織る基本となる「伸べ」ができあがります。均一なテンションで均一な巾に巻き取っていくことは、熟練の技術が必要となる大切な工程です。この時点で品質や織の効率が大きく変わってくるため、巻きを行う際は非常に慎重に・丁寧に行い、細心の注意を払います。
シャットル織機
エアージェット織機
複雑な柄が織れるジャガード織機
ドビー織機
タオル織機に地経(じだて)糸とパイル経(たて)糸をセットし、テリーモーションと呼ばれる独特な製織方法で糸をパイル状に浮かせ、パイル長や密度などを糸の特性に合わせて調整し織り上げていきます。均一な糸を均一に巻いたビームを準備し、均一なテンションで織りつけられていくかどうかにより、織物の生産性と品質が左右されます。ここが職人の腕の見せ所になります。
織機は、昔は管(くだ)の入ったシャットルが行ったり来たりして織るシャットル織機でしたが、現在では、高速で織り上げるレピア織機・空気で糸を飛ばすことが出来るエアージェット織機が主流になっています。また、タオルの織り柄の装置も複雑な柄も織れる「ジャガード」と、無地、チェック柄、ストライプ柄など簡単な柄が織れる「ドビー」とがあります。
今治では先染めの糸を使って柄をだす「ジャガード」が主流です。特に近年の電子ジャガードと呼ばれる織機は、データの図案をもとに複雑な柄でも綺麗に織り上げることが出来るようになってきています。
後染めの工程
糊抜きを行う洗いの工程
織り上げたタオルはまた染色工場へ移され後工程へと移ります。生地を織ってから染める時(後染め)はここで染めていきます。先染めされた糸で織り上げた生地は、タオルを織るときに付けた糊に洗いをかけて糊抜きします。よく糊を落とさないと吸水性の良いタオルに仕上がりません。この工程にじっくりと時間をかけて糊を抜くことで、使い始めから吸水性の良いタオルに仕上げてゆきます。この後処理の工程に使われるたっぷりの水も今治が誇る良質の水が使われています。
脱水の工程
縮みを広げる工程
乾燥の工程
織り上がった反物の状態のタオル生地を脱水したものは、縮みを広げながら、ドラム缶をヨコにしたようなシリンダを通します。連続乾燥機の中を通ったタオル生地を、移動させながら乾燥させていきます。
ミミ(タオルの端)の縫製
丁寧に一枚一枚タオルを切り分ける
ジャガード織り・プリント工程を終えたタオルは縫製段階へと移ります。スリッターと呼ばれる裁断機に掛けて一列ずつ裁断し、縫製場へもって行きます。ミミと呼ばれるタオルの左右の端をミシンで縫ったあと丁寧に1枚1枚切り分けタオルのカタチに近づけていきます。
タグを縫い付ける工程
刺繍機にセットされたタオル
タオルの上下の端はヘムといわれる部分です。確かな品質と製造元を表す表示のタグもタオルにとって大切なパーツとなります。ヘム部分にタグを縫い上げるとタオルとしての完成品となります。刺繍などを行う場合はミミとヘムを縫製後、加工します。
一枚ごとに目視で品質を確認
ブラシを使い毛並みを整える
検針機を通して確認
完成したタオルは不良品が無いかを人の目でチェックをします。一枚ごとに不良品が無いかパイルが抜けていないかなどの確認を行い、パイルの毛並みなどをブラシなどを使ってきれいに整えます。金属片などの混入が絶対に起きないよう検針機に通し、検品・検針工程に合格したタオルを袋に入れて出荷をします。肌に直接触れる商品ですので安心してお使いいただく為に一枚一枚丁寧に作業しています。