今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
出産後5カ月で早々に仕事に復帰した梶谷早織さん。
上品なスーツスタイルや上質なカジュアルスタイルといったメンズスタイリングを得意とし、女性スタイリストならではの気配りが行き届いた仕事ぶりは、スタッフやクライアントからも好評。現在は後進を育成しながらも、子育ての時間を優先して仕事は少しスローペースに。
好きなものや大切にしたいことは変わらないけれど、忙しくもゆったり流れる気持ちにあわせて、ライフバランスも少しずつ変化してきたと語ってくれました。
―服飾の短大を卒業後、服作りを目指していた梶谷さん。どのようなきっかけでスタイリストの道へ進み、主にメンズスタイリングを手掛けるようになったのでしょう。―
元々、スタイリスト志望ではなかったのですが、ここならきっと多くを学べると直感して、某スタイリスト事務所に応募。その事務所はテレビの仕事が多く、なかでもメインは平日22時に毎晩放送される報道番組。メインキャスター、女性キャスター、コメンテーターの男女3名を毎日スタイリングしていました。
衣装は何十着も準備して、当日夕方のニュースでスタイリングを決めるんです。例えば、明るいニュースがメインの日は明るい色を効かせ、暗いニュースの時は落ち着いた感じでというように…。約5年間、お世話になったここでスタイリングの基本はもちろん、多くの社会勉強をさせてもらいました。言葉遣いや礼儀にとても厳しかったことは、社会人として最善のスタートを切れたし、いま後輩を育てることにも役立っていると感謝しています。
次に付いたのは芸能系で活躍していたスタイリスト。徐々にメンズ雑誌の仕事が増えた師匠のおかげで、アシスタントの私もテレビや芸能の世界から、雑誌の世界に足を踏み入れることに。雑誌は借りる物量が多くて大変でしょう?とよく言われますが、いろいろなものを見ることができて楽しいし、とにかく雑誌が大好きで…。なので独り立ちしてからも、メンズ雑誌が私のメインフィールドとなっています。
―男性スタイリストでレディスをメインにする方、メンズ・レディスの両方を得意とする方もいます。現在はレディスやキッズも手掛ける梶谷さんですが、女性がメンズスタイリングを手掛けることの面白さ、難しさについて聞かせてもらいました。―
メンズスタイリングの面白さは、服飾の歴史の厚みにあると思うんです。レディスほどアイテムに変化やバリエーションはないけれど、組み合わせで幅を広げる楽しみは奥深くて…。うんちくやこだわり、新しい知識を得るたびに“面白いなぁ”と感心してしまいます。私、雑貨屋さんや書店にあるPOPをすぐに読み込んでしまう癖があるんです。そうすると店員さんが声を掛けてくれて、話がどんどん盛り上がって膨らんで…。そういうことがきっと根っから好きなんだと思います。
女性スタイリストがメンズをスタイリングする難しさは、やはり自分では着れない、試せないことでしょうか。それもあって、女性が手掛けたと思われないよう“甘くないスタイリング”を心がけてきました。地味な色やベーシックな色を使って、いかに存在感を出すか…。例えば、柄を合わせたり、色を使うにしてもコントラストやニュアンスを効かせたり。それでもどうやらわかってしまうみたいで(笑)。色使いや組み合わせ、小物の使い方に“柔らかさ”があるとはよく言われます。
メンズ・レディス問わず、スタイリストさんはみな同じだと思いますが、サイズ感、ちょっと長いとか短いとかがとても気になるんですね。パンツ丈や靴下の見え方、チーフの入れ方もミリ単位でチェック。ジャケットを肩で持つ場合も、パサッとじゃなくてフワッと持っているようにスタイリングするとか、そういう細かいところが気になるし、それこそが妥協してはいけないプロフェッショナルな部分だと思っています。
いまどきの若いモデルさんにスーツを着せると“腰ばき”になりがちなんですね。また、華奢でヒップのないひとが多いから、着物の着付けみたいにフェイスタオルを背中からヒップまで入れることもあります。そうすれば、シワが出来るにしてもいい感じのシワとして着こなしてもらえるので。
―細部にこだわり、緻密に組み立てていく梶谷さんの仕事ぶりの一端を知ることができましたが、プライベートでのこだわりも同様なのでしょうか?愛用している今治謹製「古色ゆかりいろ」に惹かれたのは、意外にも長年の着物好きの流れのようで。―
子育てがスタートしてから、すっかりハンドタオル派になりました。子どもが飲み物をこぼした時、スタイ替わりにしたりと大活躍。ハンカチでも出来ますが、やはりタオルの吸収力は全然違うので、子どもとの外出時にはハンドタオルを2~3枚は持って行きます。
これまではフェイスタオルやバスタオルは無地の白か生成と決めていましたが、ここに色が入っても素敵かも?と思ったきっかけが、2歳になる子どもが色名を口にするようになったことでした。家庭にいろいろな色がある、カラフルな暮らしのほうが、子どもにも良い刺激になるのかなと思ったんです。
私、昔から和服が好きで、着物スタイリストの専門学校に通って、一時期は着物のスタイリングもしていました。この時、日本の伝統色の名前や意味を勉強したんです。“48茶100鼠”というように、庶民は茶色と鼠色しか着用を許されなかった時代、48色の茶色や100色の鼠色のバリエーションを生み出すことで、庶民は制限された中でも思いのままにおしゃれを楽しんだといいます。色自体もそうですが言葉の響きや背景も大好きで、“日本の伝統色”の解説本はいまも愛読書のひとつ。子どもの名前も“日本古来の色名”にちなんで名付けたいと考えていたほどでした。
今治謹製「古色ゆかりいろ」は、色合いはもちろんのこと、その色が選ばれた理由や色名も素敵。それぞれの名が持つ力や色に込められた思いがある事も気に入っています。七つの色展開がありますが、我が家にあるのは「灰桜(はいざぐら)」「真白(ましろ)」「蒼白(そうはく)」「小町鼠(こまちねず)」とどれも淡いニュアンスカラーばかり。大人っぽく色を取り入れたかったので、この4色を選びました。
お風呂からあがったら、子どもに「今日は何色にする?」と聞いて、その色のタオルを渡すようにしています。この頃は何でもやりたがって、自分で身体を拭きたがるので大きいバスタオルより、扱いやすいフェイスタオルサイズがジャスト!今治謹製「古色ゆかりいろ」タオルは『ふかふかして気持いい』とお気に入り。髪の毛もタオルドライで十分なくらい乾きが速いので、使う度に親子で感動しています。
聞けば、通常のタオルが20番手の糸を使っているとしたら、40番手の極細糸をふわっと撚った“甘撚糸”を贅沢に使い、繊細でやわらかく艶やかなタオルに織り上げたのが今治謹製「古色ゆかりいろ」。しっかりと織り込まれているので吸水性が高く、洗いを重ねるほどにきゅっと目が詰まって、ふっくらふんわり感も長持ちすると知りました。このタオルにはこだわりがいっぱいで、使う度に納得できるのが楽しいのも、私がメンズ畑だからかもしれません。
―休日は家族3人でサーフィンを楽しむ、アクティブな梶谷家。出産を経て、子育てまっ最中のいま、感じているタオルとの新しい関係性についてもうかがいました。―
タオルって、自分が幼い頃に使っていたものを大人になっても選ぶことが多いそうで、“3つ子の魂100タオル”なんて言う方も。今治のある愛媛県出身だからか、実家にはふかふかのタオルがいつも豊富にあって、自分でわざわざ買うイメージはなかったんです。でも、結婚や出産を経験したいま、タオルこそ“贈って・贈られて”に最適だなと実感しています。
心地良いものに触れれば、誰もが幸せな気持ちになれるし、今治謹製のタオルはパッケージも特別感があるので素敵。自分がいいなぁと思ったもの、感動したものを人に贈る。それは、幸せのおすそ分け。私がかつて出産祝いにいただいた今治謹製「オーガニックタオル」のフード付きバスポンチョは、使ってみてとても便利だったし、可愛くていまだに手放せないギフトのひとつ。友人の出産祝いには、私もぜひ贈りたいと思っているんです。
さて、休みの日はサーフィンや温泉、スーパー銭湯に行くことが多く、MYタオルは欠かせないのですが、先日のサーフトリップにも今治謹製「古色ゆかりいろ」のタオルを持参しました。子どもがお昼寝した時にバスタオルを掛けたところ、子ども用ブランケットに変身!車移動とはいえ、子連れサーフは用具など何かと荷物が多いので薄手でかさ張らず、いろいろ使えるバスタオルは賢い選択でした。子どもの成長を日々感じながらも願うのは、ボードやタオルの色、どんなことでも自分で選べる子になってほしいということなんです。ささやかに思えますが、とても基本的で大事なこと。多くのなかからひとつを選ぶには、きちんとした知識や理由、感性、意志の強さが必要ですから。