今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
2009年まで大手アパレルメーカーでプレス チーフ及びバイイングサポートを担っていた川野菜穂さんは、パリでの香り豊かな空間に強い感銘を受け、アロマを学び、次々に資格を取得。
現在は自身のアロマブランド「À TERRE(アテール)」を展開するほか、企業やショップのアロマ空間デザイン、パフュームやコスメの開発、講演会など、多岐に渡る活動で“香りのあるくらし”を啓蒙しています。
そんな香りと豊かなくらしのプロフェッショナル川野さんに、本当の“オーガニック”と“アロマ”についてうかがいました。
―五感とは、視・聴・嗅・味・触の五つの感覚のことであり、感覚の総称。これらの感覚を意識し、研ぎ澄ますことが“暮らしを豊かにする”と語る川野さん。まずは、嗅覚と触覚のお話からスタートです。―
私にとって、アロマ=嗅覚を満たすものであり、タオル=触覚を満たしてくれるもの。それぞれに心地よいと直感的に感じたものを選ぶようにしています。あれこれ理屈や理由ではなく、この香りに包まれたい!この感じは好き!と思うことで感覚が刺激され、満たされ、ポジティブなエネルギーが生まれることで気持ちもあがりますから。
アロマはコンディションや目的に応じて使い分けていますが、今治謹製の「オーガニックタオル」は、やはりその柔らかさに直感的に惹かれました。なかでもヘビーローテーションしているのが「オーガニックタオル」のハンドタオル。このサイズ、何年も前から持ち歩いていますが、とにかくやわらかくて握っている時も、汗を押さえた時も気持ちがいい!とくにファンデーションの色移りが目立ちにくいベージュが気に入っています。
タオルに関しては、8歳の娘にも使うので、やはり極力、自然に近いもの、自然体のもの、余計なものがないもので包んであげたいですね。食材を含めたすべてをオーガニックで、というのはなかなか難しくても、子どもの顔や口元を拭いたり、素肌に触れるものはオーガニックな素材を選ぶようにしています。
―ナチュラル志向の人々も増えて、“オーガニック”という言葉も一般的になりつつあります。でも、間違ってとらえている人も。そもそもオーガニックって、何が違うのでしょう?―
そうですね。ナチュラルとオーガニックを混同されている方もまだまだ多いのかもしれません。「À TERRE」のアロマプロダクツに使っているエッセンシャルオイルは、世界中から集めた認証オーガニック原料の天然精油です。今年の夏も北海道を訪れて、何種類かのハーブを収穫してきましたが、オーガニックの植物って、とても生命力が強くて逞しい!
よく一面が紫色の美しいラベンダー畑の写真を見ますが、あれはすでに雑草を採ったあとの整えられた姿。オーガニックのラベンダー畑は、紫色の小さな花々が埋もれてしまうほど、雑草がごうごうと生えています。ラベンダーも雑草も土壌の栄養分をみんなで摂りあいながらも逞しく成長していく。だから、生き抜く力が備わり、自然治癒力も高くなるんだと思います。
ハーブにしても綿花にしても、人や化学の力に頼らず、オーガニックの畑で力強く育っていく姿を実際に目にすると、それがまったく違う形の製品になった時も並々ならぬ生命力のオーラを感じます。だから、私は今治謹製の「オーガニックタオル」を消耗品や単なる機能品ではなく、自然の恵みを肌で感じ、その風合いを日々、愛しむことができるものとして、大切に使っています。
―五感はそれぞれ記憶と密接に結びついていると言われます。とりわけ強いのが香りだそうですが、川野さんは触覚もとても重要と言います。―
普段からピローミストを愛用していて、枕にお気に入りのタオルを巻いてシュッとアロマをスプレーすれば、ぐっすりと眠れます。子どもが興奮してなかなか寝付けない時も、シュッとすると落ち着いてくれるんですよ(笑)。大人もそうですが、慣れ親しんだ香りがするだけでホッとするもの。合宿や出張など、それこそ枕が替わった時、環境が変わった時も、お気に入りのアロマスプレーを持ち歩けば、いつでもシュッとするだけで瞬時に“自分の場所”にできますから。
思い返せば、旅行にタオルを持参することも多いですね。パジャマは持って行かなくてもタオルは持って行く。これはアロマの仕事をはじめる前からの習慣です。お風呂あがりにまとうものや寝る時に肌に触れるタオルは、多少荷物になってもお気に入りのものをスーツケースに入れて持って行きます。朝、顔を拭いたり、就寝時に枕に巻いたり……。触れるという感覚はとても大切なので。
例えば、病気で入院するとき、多くの方がパジャマやタオルを新調されますが、私はむしろ、普段のパジャマや枕カバーを持参して使うことをおすすめしています。入院という不安がいっぱいの時に、おなじみの触感があるだけでかなりリラックスできますから。香りと同じように、タオルの触感も記憶に強く刻まれているものです。
―最後に具体的なアロマの取り入れ方を、おすすめのアロマブレンドとともに教えてもらいました。気持ちを落ち着かせる香りと、気持ちをアップさせる香りの2種類をご紹介します。―
当時、周りに睡眠トラブルを抱えている友人が多く、私も寝付けなくて悩んでいて……。そんな時に考えたのが「Moonlit(ムーンリット)」。ラベンダー、ベルガモットといった精神を鎮静させる精油を中心に9種類を選び、スムーズな入眠へと誘うアロマブレンドは、パーソナルセッションから生まれたものになります。
「おかげでぐっすり眠れた」「時差ボケが軽くてすんだ」と評判になり、生産ラインにのせることに。仕事をバリバリ、子育ても一生懸命で、家事も完璧に……と頑張りすぎの大人たちに、ぐっすり眠ってほしくて手軽に使えるアロマミストもつくりました。私がいつも枕元に置いて、ピローミストとしてオーガニックタオルにスプレーし、就寝前に使っているのがこの香りです。「Moonlit」はホルモンバランスをサポートし、心を落ち着けてくれるので、生理前後や更年期など、女性ホルモンがアンバランスに傾く時期にもおすすめしています。
もうひとつの香りは、気持ちをアップさせたい時のアロマブレンド「Splash(スプラッシュ)」。こちらは柑橘系やティーツリー、ミントなど8種類をチョイス。ミントは肌の冷感センサーを刺激するので、香りを嗅ぐだけで体感温度が下がり、涼しい感覚が脳に刺激として入るので心身がクリアな状態に。またローズマリーは脳の血流を活性化させる事で認知症にも効果的と言われています。一日を元気よくスタートさせたい目覚めの時にぴったりの清々しいアロマです。また、抗菌効果があるのでインフルエンザや風邪が流行るこれからの季節、洋服やマスクの内側にスプレーするとブロック率も高まります。うちでは毎朝、通学前に子どもの服にスプレーしてから送り出すようにしています。
じつは、私はかなり小柄で満員電車では人と人に埋もれてしまい、息をするのもツラいほど……。電車に乗る直前にお気に入りの香りをシュッとスプレーしたハンドタオルを鼻にあててゆっくり深呼吸するだけで、嗅覚と触覚が同時に満たされて、満員電車が安心空間に変ります。タオルにスプレーすれば香りが飛散することも少ないので、周囲に迷惑を掛けず、自分だけでアロマを楽しめる方法としてもおすすめです。