今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
矢野紋織株式会社は今治の中でも老舗のタオルメーカーのひとつ。今治謹製のファーストモデルである紋織タオルや至福タオルの製造を担っています。今治謹製紋織タオルの生みの親の一人と言っても過言ではない代表取締役の矢野健二さんにお話を聞きました。
私は不可能という言葉が嫌いなんです。メーカーとして目標に近づけていくという信念が大事。これは先代の社長から受け継いでいることです。ものづくりは人の心が表れます。一枚のタオルであっても色んな人の心が込められています。そのためマイナスの思いは商品の顔に出てしまうのです。今治謹製のお話をスタイレム社(今治謹製の企画販売元)の担当者様から初めて聞いたとき、ものすごい心のエネルギーを感じました。担当者様が変わったり、関わる人数が増えたりしていますが、感じるエネルギーは昔も今も変わりません。そのエネルギーは想像を遥かに超える製品となって世に出ました。それが今治謹製紋織タオルです。
忘れられないのは旧工場が火事になったときのこと。今治謹製の企画販売を手掛けているスタイレムの皆さんが大阪や東京から今治までわざわざ助けにきてくれました。企画販売を手掛けるスタイレム、生産を手掛ける我々、つながりの強さや二人三脚でやっていることを感じました。ご迷惑をおかけする事態になりましたが、大事な機械は無事でした。様々な人に助けてもらい、今では新工場で今治謹製を作り続けています。このような災難を乗り越えられたからこそ今後もタオルづくりの道は開けていると信じています。
今治謹製紋織タオルのデザインには深みがあります。デザインされたアベデザインプロの阿部社長やスタイレムの企画担当者がデザインに対してたくさん議論されていたのを横で見てきました。それだけ想いが込められているということです。だから深みがあると思うんです。今治謹製を使う方には、タオルを家族のように感じてほしいです。ご家庭で手に触れたときに幸福を感じる存在として今治謹製があれば嬉しいです。メーカーとしては皆さんに使ってほしいですが、個人として誰に贈りたいかと問われると、私は妻に贈りたいですね。
今治というタオル産地の中の一員として考えていることは「皆で生きていく」ということです。タオルを作り続けていくためには自分たちだけでなく、いろんな会社とともに取り組んでいく必要があるので。皆で良いタオルを生み出していかなければいけませんね。