今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
メンズファッション&ライフスタイル誌「OCEANS」、都会のライフスタイル誌「東京カレンダー」、レディスのスポーツ✕ファッション誌「ハミングバーズ」の3誌をメインに、ブランドのカタログや広告でも活躍中のベテランスタイリスト松田有記さん。
メンズ&レディスのスタイリングだけではなく、「OCEANS」ではキッズやインテリア、アウトドアまで担当する、その幅広いスタイリング力とセンスには定評があります。
3年前からは、パーソナルスタイリングもスタート。現在は、企業経営者を含む男女3名に“リアルでスペシャルなおしゃれ”を提案しているそう。
―パーソナルスタイリングの面白さから話は始まり、女性にはない、男性ならではのこだわりの数々に思わず感服!そして、松田さんの話は“僕の愛する「極上タオル」”へと続きます。―
雑誌や広告の仕事ではモデルを使って、かっこいいスタイリングや季節ごとの流行を表現しますが、パーソナルスタイリングは、そのプロセスもゴールもまったくの別物。もちろん、かっこよく素敵に仕上げますが、クライアントそれぞれに好みや固定概念がありますし、トレンドだけではなく、それぞれのライフスタイル、着用シーンも考慮しなくてはなりません。ある意味、正解もさじ加減もいろいろなので、そこが楽しさであり、大変さかも。
クライアントはモデルさんではないのでスタイルよく見せる工夫も重要です。スタイリングのテクニックはもちろん、寸法直しや丈詰めといった後処理がポイントに。この最後のツメが甘いとすべてが台無しになるので、ミリ単位で細かくチェックします。僕がよくお願いするのは、業界のお直しを一手に引き受けている「コーダ洋服工房」。ここは本当に何をお願いしても上手くって、例えばヴィンテージデニムのすそ上げなら、自然なアタリが出ているすそを一度はずし、丈を詰めてからまたすそを付けたりもします。男性はこのアジのあるすそのアタリ部分が大好物。このアジを大切にするか切って捨ててしまうかが、おしゃれかダサいかの大きな別れ道だったりします(笑)。
男性は、こんな風に細かいところにこだわりポイントがたくさんあって…(笑)。一般的に家庭のタオルは、女性が選択の主導権を握っているイメージですが、うちの場合は僕のこだわりや“タオル愛”をわかってくれているので、僕が選ぶことも多いですね。今治謹製のタオルは以前から使っていましたが、「極上タオル」シリーズを使ってみて、肌ざわりや洗い上がりの感触が絶対的に違うことに驚きました。
毎朝のシャワー後もさくさくタオルドライできるし、いろいろなことが心地よくスムーズで、いい気分のまま仕事に向かっています。でも、近頃は朝に使おうと思った「極上タオル」が前の晩に使われていることも…。どうやら小2の娘もお風呂上がりは「極上タオル」ばかりを引っ張り出して使っているようで。子どもはやはり素直で正直ですね(笑)。
―スタイリストとして独立したばかりの22歳の頃、腰をいためたことがきっかけでトレーニングを始めた松田さん。ジムに通ううちに腰はすっかりよくなり、48kgのガリガリ体型もスーツが決まる厚みのあるカラダに変身!それから19年間、現在もトレーニングは欠かさず、ジムにも必ずマイタオルを持参しています。―
週に2、3回はジムに行くようにしています。1回あたり、純粋なトレーニング時間だけで最低3時間(笑)。ストレッチと体幹トレーニングに1時間、有酸素運動としてランニング30分、ウエイトトレーニングは1時間~1時間30分とみっちり。もちろん、汗は大量に出るのでタオルは手放せないんです。
以前はスポーツブランドのタオルを使っていましたが、使用頻度が高すぎるからか、あっという間にかたくなるんです。一発目に顔を拭いた時にガチッと肌にきて痛いし、ヒゲに繊維が引っかかることもしばしば。調べてみたら、スポーツブランドのタオルはロゴをくっきり出さなくちゃいけなかったり、かっこよさを追求した配色だったり、デザイン優先の部分が多いらしく…。僕の場合は約3時間、ジムでは何十回となく汗を拭くので、顔やカラダに触れる感触や色を最優先にしたいんです。また、ジムではトレーニングマシンを渡り歩くので、大きなタオルよりはフェイスタオルぐらいのサイズがちょうどよく、最近は今治謹製の「極上タオル」シリーズを持っていくことが多いですね。いいタオルを使っていると運動のモチベーションも自然と上がりますから。
―ところで“タオルは白“は究極のベーシックですが、男性目線で選ぶと何色がおすすめなのでしょう。松田家の場合、さらに意外な事情もプラスされているようで。―
男らしい色、かっこいい色、ユニセックスな色はいろいろありますが、うちのインテリアにはブラックやチャコールグレー、ネイビーといった濃色を選ぶことは少なくて。ファッション的にはずっとアーミー系が大好きで、カーキやベージュは僕にとって永遠の定番色。そんなところからも、タオルは男っぽさがありながら、汚れも目立たない実用的な色として、大好きなカーキとベージュを選ぶことが多いですね。
というのが、じつはチワワを飼っておりまして(笑)。ショートコートなんですがチワワの毛があちこちに刺さってなかなか抜けないんです。ソファなどはチワワの毛で全体が白っぽくなってしまうくらい。なので、松田家としてはタオルもそうだし、ソファも洋服もベージュのチワワと同化する色、抜け毛が目立たない色がテーマカラーになっています。
ただ、タオルに関してはスタイリスト的には無地だけじゃなくて、もう少し柄物があっても楽しいんじゃないか、広がるんじゃないかとも思います。柄のタオルは女性っぽいものが多いですよね。例えば、男性はハンカチ代わりにバンダナを持ちますが、バンダナ柄、ペイズリー柄のタオルなんて可愛いと思います。汗を拭く時でも、柄ものなら汚れが目立ちにくいですし。その他にはチェック柄やアニマル柄、迷彩柄もユニセックスで使えるし、男目線ではありですね。白やアイボリーの“いかにも”なタオルとは違い、タオルっぽくない色・柄だからこそ、室内にポンと置いていてもインテリアの一部としていい雰囲気、アジを出してくれると思います。
そういえば、フェスの会場で一か所に穴が開いているタオルをフックで引っ掛けて、腰から垂らしているひとを見かけました。フェスは暑いので日焼け防止効果も狙ってか、タオルを首に巻くひとは多いのですがファッション的にはいま一歩だったりします。でも、フックタオルは便利だし、おしゃれだし、歩いているうちに乾いたりもするのでかなり機能的だと思いました。ジム用にもいいかもしれません。でも、僕のように長時間ジムにいる人は少ないから、それほど需要はないですかね?(笑)
―“タオル愛”あればこそ、良品を選ぶだけに終わらず、お手入れまでも完璧に行いたいもの。最後に松田さんの“タオルの育て方”を聞いてみました。―
洗濯はできるほうがやりますが、明日はこの服を着たい、このタオルを持って行きたいという時は自分で洗います。僕は洋服のシワがすごく気になるタイプで、洗濯物は干す前にぴしっぴしっと伸ばして、なるべくアイロン掛けを少なくしたい。だから、パンパンと何度もたたくし、洗剤も“シワになりにくい”タイプを使います。
タオルマニアとして、お気に入りのタオルを長く心地よく使うために心がけていることは……。タオルも同じくパンパンに加え、バサバサッと振りますね。そうするとパイルが根元から起きて洗い上がりもふっくら。日差しが強いとシワが固まるというか、紫外線で繊維がかたくなるので、風通しのいい日影で干すのもポイントです。また、タオル本来の吸水性を遺憾なく発揮できるよう、吸水性が低下する柔軟剤は使用しません。だから、うちの「極上タオル」は洗濯を繰り返しても、吸水力は抜群だし、肌触りはふっくらのままなんですよ。
男性って「これが好きな理由は何なのか」を突き詰めて分析したがるんですね。動物的な感性で動くけれど、理性であと付けをしたがる。だから、タオルマニアとしては「極上タオル」が“他と違って気持ちいい”“いちばん好きだ”という明確な理由が、綿花のクオリティや糸の撚り方、織り方などしっかりと語れる点もありがたいですね。自分の感覚は間違っていなかったんだと確認できるので(笑)。
タオル生地でテーラードジャケットやパンツ、ガウン、靴下をつくっているブランドがあるんです。今治謹製の「極上タオル」シリーズはその中でも“プレミアムなタオル”ですから、もし、この素材を使ったアイテムがあったら、どんな着心地になるんだろう? かなりリラックスできるなぁ、なんて想像しちゃいました。それくらい、このタオルには惚れ込んでいます。