今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
日本有数のタオル産地である今治において、過去に昭和天皇が行幸されたメーカー田中産業株式会社。そこで整経製織部門 部門長として働く山岡浩司さん。後進を育成していく立場となり、今までを振り返り、印象に残った言葉や育成に対して、心がけている事柄・タオルに対してのご自分の思いをお話ししていただきました。
日々、タオルの生産に関わっている中でタオル織機の調子が悪い日が必ずあります。そういう日に私は昔、先輩に言われた「機械に幽霊はいない」という言葉を良く思い浮かべます。
幽霊はいない=原因が必ずあるという事です。織機の調子がわるい・織機がうまく動かないといった事が起きるには何か必ず原因があり、それを如何に早くみつけられるか、見つけられないかがその人の技量・値打ちを決めると思っています。今、自分が後進を育てる立場になり、先輩の言っていたあの言葉の意味合いの深さがわかってきました。
弊社には習得する資格に対して評価する姿勢・率先して勉強会へ行く姿勢があり、それに恵まれたと思います。技能士会の会合にも地域貢献の為に積極的に参加できる、それは自分にとってモチベーションを高く持てるのでよかったと思っています。
後進への接し方ですが、後進とは15、20年の年の差がありぞれぞれの個性があります。年の差の考え方の違いに妥協点を見出し、自分が実例をみせながら、なるべく見守る事にしています。なぜなら、妥協点を言ってしまうと自分で考える事をしなくなってしまうと考えているからです。極力、「手・口をださずに、考えさせる」それについてくる人は成長します。勿論、質問されたら教えますよ。自分も「先ず、考える」、そうやって成長してきました。
どちからというと僕はメカニックです。織機の調子を音で感じ取る為、毎日の織機の音を気にかけているうちに、いつの間にか聞き分ける事がでるようになりました。実は母もこの会社に勤めていたんです。なのでタオルという存在は僕にとって仕事を含め、生活の一部であり人生の一部でもありますね。
今治謹製の雲母唐長タオルを手掛けていますが、新しいタオルは生産していく際に、最初は苦労します。特別な糸を開発し使用していますから。糸的には織りやすいのですが、このやわらかな風合いを守りながら、生産性も考えて安定供給していく、生産する際に苦労するでしょうが刺激になります。