今治タオルブランド「今治謹製」が織り成すストーリー
田中産業株式会社は愛媛県今治市にある今治タオル産地の中で長い歴史を持つタオルメーカーです。1966年(昭和41年)4月18日、昭和天皇皇后両陛下の行幸啓を仰ぎ、本社・工場全工程天覧の栄に浴したメーカーが田中産業株式会社でした。
「今治謹製」は販売累計個数1000万個を達成し、達成記念に400年来の歴史を持つ京都の唐紙屋「唐長」の次世代を継承するブランド「雲母唐長」とのコラボレーション、今治謹製 雲母唐長(KIRA KARACHO)タオルをリリースしました。そのタオル製造を田中産業株式会社にお願いをしました。
代表取締役の田中良史さんに今治謹製の印象、記念シリーズの取組み、これからのタオルの発展などお話しをお聞きしました。
私はタオル産業はもともと、伝統の産業ではないと思っています。なぜなら、タオルは私たちの生活に常に寄り添い、生活スタイルとともに変化していくものだからです。
タオルのパイル部分をカットし、肌触りをなめらかに仕上げるシャーリング仕上げを始めたのは今治産地で弊社が初めてでした。また、弊社はジャガード織(織りで柄を出す技法)を組んだ幅広織機をいち早く取り入れたり、これまでなかったタオルケットというアイテムを作り出したりと、前衛的に新しい技術に取り組んできた会社です。その為、常に、世界で一番新しい設備を備えています。また、機械・技術だけでなく、人材についてもそうです。弊社では今まで培ってきた技術・新しい技術に取り組む姿勢を次の世代を繋げていけるよう年長者から新しい人材まで各世代の人が働いています。そうやって時代時代の変化に対応できる力を備えてきた会社です。
「今治謹製」は2004年発売スタートから累計販売個数1000万個。ここまでやり続けることの中には、変わらなければならないこともあったと思います。
弊社が手掛けた雲母唐長(KIRA KARACHO)タオルは今治謹製の累計販売個数1000万個達成を記念し、発売する「今治謹製」と「雲母唐長」のコラボレーションシリーズです。
苦労した点は、雲母唐長の受け継いできた伝統、1000万個を売り上げた今治謹製、そしてこのタオルギフトをお選びいただき贈り、贈られ、手にされる、すべての人が満足するモノづくりをしなければと思っていました。良いものは高い、でも、高いから良いものではないと思います。このコラボレーションの制限の中で、どのようなものができるのか?贈り物として喜ばれるのか?を考え取り組みました。そのため、なるべく、打ち合わせに時間を割きました。糸・色・タオルの組織に関して打ち合わせを何度も繰り返し、オリジナルの糸を使用し、風合い豊かで色・柄の際立つタオルが仕上がったと思います。これから、もっともっと、取り組みをし、良いと思っていただけるタオルを作っていけると思います。
人の生活・感覚は常に変化しています。タオルの染め・織りなど生産の技術も進化しています。進化があるアイテムなので、「これで完璧だ」という完成形はタオルに無いんだと私は思っています。
完成形が無い分、日常の生活で一日の最後に何となく、ちいさな「ほっ」とするしあわせをタオルでプラスできればと思います。昔に比べて、今の日本人は本当にタオルを身近に感じています。私は日本人のタオルへの関心はこれからもっとひろがってくる、と考えています。そして、そのような社会になってほしいと思っています。広い関心をもつその社会に対して、弊社は常に対応できる会社でありたいと思います。